The Strongs『The Strongs』全曲レヴュー



The Storngs『The Strongs』
1. D.D
2. ルートビアー・マン
3. 恥晒し
4. 大塚スモーカー
¥100- (Bandcamp)
2018/03/04レコーディング (サウンドスタジオノア 駒沢)
2018/06/02リリース

オルタナ!ロック!ミクスチャー!
どこか退廃的でレトロな町を匂わす4曲EPが発表であります。
キメッキメだったり、気怠かったり、色々なアイディアが詰まってますが、きちんとポップに聴ける歌モノでもあります。
「人と合わせて演奏したらとても楽しそう!」ともなります。

全曲レコーディング・ミックス・マスタリングしました。
「大塚スモーカー」のカッティングギター以外、楽器演奏は4人全員同じ部屋で一発録りでした。

あんまし曲について触れず、サウンド(と珍しく歌詞)について気になることを書きます。
曲は自分で聴け!!!!!!!!!!



「D.D」

なんじゃこの雰囲気は!

他の曲から浮かない程度に、ナンバーガール風をイメージ。
どこか冷たくショートディレイのかかったヴォーカルや
フランジャーのかかったドラムもそうだが、
イントロ、エレキギターの生音(シャカシャカ)が逆サイドからも聞こえるのがこだわりポイント。
これを捉えられるようにアンビマイクを立てた次第。
あわせてスナッピーが共振しているバズ音もわざとほったらかしてます。

少し和風なギターソリも、その後のソロも一発録りで録られているよ!!
縦横無尽に駆け巡るベースはどこかスケールアウト気味でこちらも雰囲気があるのかも

ゆうがたカルテット。イントロを聴けば分かると思うが、タイトルは「Drop D」の意味なのだそう。


「ルートビアー・マン」

これぞストロングス。
印象的なギターリフに、スラップベースと絡むドラム、そしてあくまで合間を縫うようにプレイするリードギター!
Bandcampでもリードトラックになってますね。

ギターリフはとてもギターらしいリフだ (もちろんベースらしくもある)。
音価が短くとも、CマイナーキーでE音とA音を鳴らせる楽器は、ギターだけだろう 。

アウトロは覚えゲー的で、音楽的ではないが、曲作りの際の遊び心が垣間見える。編曲のときも飲んでるからですか?
A&W ルートビア 355ml 【6缶】
本当の意味で"ブレイク"する、テンポルバートの"「小ぶり汁だくエロエロゾーン」" (1:10)。
この声はこだわりのぶっつけ本番ワンテイク録音!
そしてこだわりのノー・エフェクト!
マスターに挿さっているEQとコンプのみが掛かっています。リヴァーブなどは一切使っていません。(代わりにフェーダー操作はしてるが、最小限に留めている)

同時に裏で聴こえる声は、演奏の一発録りの際メンバー全員に言わせたもの。
部屋鳴りアンビ用のマイクが拾っている音なので、いい遠さで録れた!
一発録りの演奏中に言うことで、ブレイク明けのアタマがバンドでバチッと合いやすいようなガイドにもなったと思う。


「恥晒し」

この曲は歌詞の置き方がレアケースだ。
Aメロ8行を引用し、印をつける。
"家にいてテレビばっか見てる分にゃ仕方が無い
わざわざ重い腰上げ飛び交う玉を眺める
大金は欲しか無い 脈早くなるのが楽しい
宝くじ屋の看板猫 あくびをしてる
パチンコ屋の看板 街の景観損ない
風情なんかは大昔の幻 また会いましょう
長方形の掘っ立て小屋 雅なんか無い
また会いましょう また会いましょう
"

"宝くじ屋の看板猫 あくびをしてる
パチンコ屋の看板 街の景観損ない"
この2行では"〜屋の看板"が一致しているが、4・5行目の歌詞である。
普通は1・5か1・2なのに、4・5だと不思議な感覚に陥る。
言葉を詰めるような音楽以外で、他にこういう例はすぐに思いつかないです。

その他にも、"仕方が無い"・"大金は欲しか無い"・"景観損ない"・"雅なんか無い"と、「ない」の音があるのに、
出現する箇所は揃えられていない

8行目、"また会いましょう"の使い方も印象的だ。
まず最後に2回繰り返すのは印象的だし、
2コーラス目では"抗いましょう"と完璧に韻を踏む。
しかし注目すべきは、6行目ですでに一度"また会いましょう"が出てきていることだ(8行目と似た節で)
ここも「4行目の最後に1回置き、8行目の最後に2回置く」みたいなのが定石かと思われる。

以上のように特徴があるが、
そもそも8行の歌い方がフリーリーで不規則だ。
一見不規則な歌のメロディーと言葉には、不思議な結びつきが隠れていて、ヴァースの雰囲気を成り立たせているのだ。

また、サビを挟み、2コーラス目になると話は具体的になる。
文体や歌い方には、統一性がある(1コーラス目と比べると遥かに)ことからも、訴える力が増しているようにも取れるだろう。


イントロのハイハットの左右の広がり方が一発録りっぽくドキュメンタル。
所々にうっっすらと話し声が聞こえるよ。
ギターソロ中のフィードバックは偶発的なものですが、みんな気に入ったので大きくフィーチャー!
またこちらも少しベースがアウトスケール気味で緊張感が加えられている

「大塚スモーカー」

発音が気持ち良い歌詞が逸品で、
歌詞と そこへ付随する音との間には調和がある。

例えば「ou」の発音で音高を落とすことには必然性が感じられるし、
歌詞にある言葉を発音しなかったり、
記号を発音したりするセンスも素晴らしい。

ウルトラ怪獣シリーズ 46
ナックル星人 グレイ(SD)

遠藤も歌う(?)"123でUFO"。こちらも「ルートビアー・マン」と同様に、ぶっつけワンテイク録音。そしてノー・エフェクト。
凸凹を平すための最小限のフェーダー操作のみで聞かせている。

カッティングギター(1:54〜)は唯一のオーヴァーダブ録音。

一番最後のメロは湿っぽく。
Lo-Fiに、そしてモノラル気味にしてみました。
最後の最後に口語っぽい歌詞で寄り添われて終わりなんて憎い!










The Strokes(ザ・ストロークス)を言い間違えたことからできたバンド
「演奏前に必ずストロングを飲む」という縛りを自ら設け、
練習・ライヴ前には必ずストロングをみんなで飲む…そんなバンド

平塚サンダーバードちゃんさん(@hiratsukathunderbird_chan)がシェアした投稿 -

レコーディングのときも、セッティングが終わり、演奏(録音)を始める直前に全員で乾杯していた徹底ぶり。
(ちょっと勧められたけど、僕はもちろん飲みませんでした)
サントリー -196℃ストロングゼロ 350ml×20本 9種類のみくらべオリジナルセット
キリン 氷結バラエティ350ml×24本 (ストロング6種) 



曲順を一緒に悩んで、決めてからマスタリングしたのに、
Bandcampでは無視されていたので抗議してきます。
(配信前提だったので、曲間の無音部分は極力最後につけるようにしてあります。大丈夫。)