etymon『luminous rumination』
- pulp fiction (2:53)
- luminous rumination (8:04)
- hanashite (4:09)
- シーユーアゲイン (3:51)
- stadium run (3:15)
- omoide ≒ moyaide (0:42)
- love this song (3:43)
2017年1月に録音しました。
すべてのレコーディングを担当しました (SE的な環境音以外)。
当時メンバー立ち会いでのミックスと、自分でのマスタリングもしてましたが、
リリースにあたって別の方による一部のリミックスとマスタリングが施されてます。
楽器は、ドラムもアンプも同じ部屋で同時に一発録りしました。
メンバー渡部亮の要望でラフに。ギターアンプのノイズなどを積極的に録るようにしています。
以下の文章はリミックスされる前に書き上げていたものなので、今は少し印象が違ってるとこもありますが、残しておきます!
1.「pulp fiction」
再生直後にうねりに飲まれる。いっせいにダイヴ!!!!そして印象的な"Would you like back"の4人の斉唱。
この"Would you like back"のメロディーの使い方がこの曲の肝である。
Aメロはギターもベースもドラムもほぼ同じ2小節のパターンを繰り返し、ミニマムな作りになっている。
そこへそのまま"Would you like back"が乗っかるのだが、
途中でドラムは裏打ちハットのリズムになり
同時にギターとベースも8ビートを埋めるストレートなリズムとなる(コードチェンジも追従)。
その後のAメロはまたミニマムに戻るが、
今度"Would you like back"が出現するときは最初から裏打ちリズム(コードチェンジも追従)。
歌詞は"Would you like to (be) back"ではないため、
この八分"裏"のリズムは「バック(バックビート)はいかが?」のように響く。
(厳密にはバックビートとは四分においての2・4拍目のことであるが)
スネアが小気味いい。特徴的な要素だ。
ラスサビ前に入るフェイザーなどで加工した いそしまさゆりの声は素晴らしいハイライトになっている(2:03)。
歌詞には僕も所属していた前身バンド ジ・エレヴェーターズ「alright」からの引用も。単なる引用というよりかは再解釈なのだろうが。
2.「luminous rumination」
タイトル同名曲のリードヴォーカルをサポートメンバーが務めるのはレアなケースなのでは。「正規メンバーじゃないからどうこう」とかを抜きにして、「欲しいサウンドを得ること」を一番にする姿勢が伺える。
楽器4つ(+サンプリングパッド)+ヴォーカル4声(一部5声)でこのスケールの大きさである。
曲長は8分と長いが、ギターのインプロのコラージュが前後についているためだ。
別日にエフェクターをたくさん繋いで録ったものだ。
3.「hanashite」
離して話し手話して?ギター・ドラム、2人での作品。ギターはベースアンプとギターアンプから出力させていた。
亮さんの意向でリヴァーブマシマシに。
最初はいそしまさゆり(と僕も…)は反対していたのだが、一回こっちを聴くと戻れなかった。
ゆったりと普通のコードで進んでいくが、最後に待ち構えるノンダイアトニックコードにカタルシスがある。(3:12〜)
4.「シーユーアゲイン」
大胆すぎる引用。しかし02年・97年発売ということを考えると、もう”あの曲”も権威を持って、こんな引用もパクリではなく、オマージュやリスペクトに値する頃なのではないか。20年も前なのだから。"キミは裸足のままで 駆けだしていくよ
雨はまた降りそそぐ 溶けていくよ"
ここの歌い方が面白い。
二人が交互に歌うのだが、
「キミはまた/風のように」
「雨はただ /降りそそぐ」ときて、
「キミははだ/しのままで」…
一単語に別のモチーフを跨がせ、単語を分割させるのは、よくあることだし(「裸足」→「はだ/し」)、
この曲のような韻の踏み方なら必然だろうけど、
発明なのは分割した一単語を別のパート(人)が歌うことだ!これは前例を知らない。
ヴォーカルが二人いる場合のトリックって、
「主旋律とハモりがいつの間にか入れ替わってる」
「 交互に歌うとき、切り替えのタイミングだけ同時に歌う」くらいだと思っていた※
※後者については、「別の単語を使う」という言葉の要素を加えて実践したことがある。
例: 下のような歌詞でAの最後「橋」と、それに続くBの最初「端」を同時に歌う
A:「君と出会った橋」
B:「端から二人歩いた」
途中に入るSE(夏の環境音)がとてもいい味を出してる。
5.「stadium run」
ノイジーに。唯一一発録り演奏のままの曲で、後録りの歌以外オーヴァーダビングはない。
空気感を付与して、バンドで合わせてる感じを出した。よく言えば嘘くさくないギターの音になったと思う。
似た音(発音)が多い為か歌詞の語感が楽しい。
ここに来てポップ・パンク的な演奏なので「声とかロックも似合うのね」とだけしてしまいそうであるが、
ここらへんの言葉使いの感覚や、時折入るメジャーのパッシングコードがしっかり個性としてある。
6.「omoide ≒ moyaide」
環境音とノイズのコラージュ作品。ノイズはM-1「pulp fiction」で使われた音の続きですが、
逆再生して再生速度(とピッチ)を上げてます。ピッチは僕の趣味で次曲M-7に合わせてみました。
タイトルはナンバガ的なomoideと、そのアナグラムのようなmoyaide。ググると神奈川の言葉らしいが、果たして
7.「love this song」
タイトルは一人称Iの省略か。アンコールかのような弾き語り的小曲。
しかしメロディーはなかなか複雑で様々な情緒が織り込まれている。
こんなにメロディアスだと、普通はゆったりと演奏し、いわば濡れた”聴かせる"曲にもできたはずだが、
ギターの軽快なストロークと音色のドライヴ感(DRIVE感)でそこは締めている。
媚びず潔い。
添加物がないのでコード&メロディー(&声色音色)で勝負できている。
当初は「ラフに・ローファイに」がテーマに録音した。
「ピアノガール」(くるり・2000)の空気感をリクエストされたので、モノラルライクだったりくぐもった音像にすることを前提に録音した(追記→リリースヴァージョンではもう少し派手な感じになってる)
スタジオにはアンプ2 台に繋いだエレアコと、歌ういそしまのみ。
声をオンに直接狙うことはせず、頭上斜め上にX-Yでマイキングした。
タンバリンはオーヴァーダブなので、音楽的ではない位置から入ってるけど、そのままでOKということなので録り直しはせず残した。ビートルズがいるから僕も採用する勇気が出ました。
最初と最後に僕のトークバックの声がサラッと
レコ発ライヴがあるよ!
5月25日(土)にレコ発ライヴがあります!
(僕もサポートでリードギターを弾かせてもらいます…)
ぜひ来てね!!