Looisbos『rooms』全曲レヴュー & レコーディングレポート


『rooms』について

Looisbos f.k.a. Rooibosの3rd EP!ルームズ!
良いペースでのリリースだ〜。作曲者が1人で、活動以前にバンド用の曲のストックも無かったバンドなのに、こうしてコンスタントに新曲を届けてくれるのは嬉しい。
レコーディング時点では、メンバーがどれをリードトラックにするかを悩んだくらいには、各曲の粒も立っていて、結果的にEPリリース前に4ヶ月連続の先行シングルのリリースもありましたね。
ソングライティングの原点である「良い曲を書く」という面での進化が伺えます。

個人的には全体的にリードギターの扱いが変わっているように感じていて、「リード・ギター(右)よりも、バッキング・ギター(左)をメインに扱って欲しい」というオーダーを、殆どの曲でいただきました。
これまでのEPは、バッキング:リードが、5 : 5や4 : 6くらいで作ってきましたが、
本EPは、気持ち的には6 : 4や7 : 3くらいのバランスを狙うような方針となりました。
今作の作曲時、ストロークをするアコースティック・ギターを中心に、作曲からデモ作成までを行った影響などがあるのかもしれません。

YouTubeで仕入れたスネアチューニング術を共有したところ、
ドラムのガタさんはヘッドにしっかり書いていました!

レコーディングとしては、今回はリズム隊;特にドラムセットの"音決め"に時間を費やせました。
The Waterfallsの2nd EPs『Youthlight』/『In the Blue Lagoonの際と同様、ドラマーと一緒にミュートなどなどこだわれたと思います。
特にシンバルを持ち込んでくれるのはありがたい。(いつも使うスタジオがPaisteでクセがあるからか、)かなりサウンドの雰囲気が変わる気がします。高音の楽器なのに、替えることで重心が変わってくる気がするのだ。天井が決まるというか。

3回目のレコーディングということで、メンバーもサウンドのイメージをより明確に持ち、ポスプロでの可能性も頭に入れていただきながら、録音に臨んでくれました(もしくは、イメージの強さはこれまでと同程度だが、僕のようなエンジニアとのコミュニケーションに慣れてもらえたとか?!嬉しい〜)。

全曲レヴュー

1. Thinking about

走り出しを期待させるハイハットから幕開けとなる、「she said」ともまた一味違う、疾走系のナンバー!
スケールアウトも厭わず臆せず、小賢しく駆けるリード・ギターはLooisbos印ですね。

リズムは、ベースを主軸にモータウンをスクエアにした感じでしょうか!
全体のイメージ元はストロークスらしく、インターリュードにうっすら聴こえる口笛(1:38)もオマージュです。
リズム的にベースがグイグイ引っ張る系かと思いきや、結構バッキングギターは淡々として、このコントラストが妙にスリリング。

ヴァース部とコーラス部は、丸ごとドラム・ヴォーカルのガタさんがリード・ヴォーカル。まるまる男声メインの曲はLooisbos史上初めて
ただ最後のセクション(3:08)では、女声とのユニゾンに。1st『chairs』からガタさんが言っている、"ご褒美"の展開に当たるのだろうと思います。

その最後のセクションの後半(3:19)では、二声がディヴィジしホモフォニーに。どちらが主旋律かも曖昧になる感覚にさせられるほどメロが上手く絡んでいるのが、ストレートなポップへの反抗のようで面白い。

コーラス部(1:14など)では男声が2声に。ガタさんによるセルフ・ハーモニー(これも初)。このメロディーにハモリが入るのは必然性が感じられました。

ヴァース部(0:26など)のメロディーはヨナ抜きのメジャーペンタで明るい曲に聴こえますが、コード進行がⅠ → Ⅲm → Ⅳ → となっており、Ⅲmが切ないです(イントロも同じ進行ですが)。

コード進行で言うと、トニックを長く引っ張ることも特徴です。
ヴァース部の終わり4小節(0:44)がⅠ。ヴァース部は繰り返されますが、始まり(0:50)はまたⅠで4小節。つまりⅠが連続で8小節間鳴り続けることになります。
またヴァースから展開したコーラス部の頭2小節(1:14)もⅠのため、展開のツナギでも(「ヴァース部の終わり 〜 コーラス部の始まり」とセクションを跨ぎ)、6小節間はⅠが引っ張られています。

トニック以外のコードで、声で終わるエンディングは「Nowhere」的でしょうか。

歌詞

個人的には「繰り返し」が鍵となっているように思えます。

まずはセクションの後半2行は繰り返しとなっています("Give someone only bad news"など)。
ヴァース部はもちろん、コーラス部でも同様です("She's happy now, now, now, now")。この中で細かい単位では"now"という単語も繰り返していますね。
しかしヴァース部の"It's dangerous to meet / It's dangerous to meet people"だけは特殊なパターンで、最後に"people"が付け加えられている小さい捻りが見られます。

そして、曲の最後のセクション;Looisbosお得意の「Cメロ」では、歌詞が4行分まるまる繰り返されています。この繰り返し方が面白い!別のメロディーで繰り返されるのだ!
旋律的には、「前半8小節 → 後半8小節」。
歌詞的には、「前半4行 → 後半4行(同じ歌詞)」という構成ですが、
前半の4行目が、後半の1小節目のアウフタクトのようになっていて、歌詞が展開を跨ぐ形になっています。
「音程のマイナーチェンジ」や、「音型(音形)の変奏」という次元ではなく、「全く別のメロディー」と言って良い 歌い回しの変え方をしてくれていて、面白いです。

サウンド

「なによりベースをリズムの中心にして欲しい」とのオーダーだったので、なるべく重めに鳴るように据えています。
リズム補正等は一切していません。

ギターの汚し方は、ミキシング時での要望もありつつ少ーしストロークスを意識しています(ただ元々の録り音がそこまでストロークスチックではないので、マインドだけ寄せた感じ)。



2. Laundry

先行シングルとなった毎月リリース企画の第一弾!テニスウェアの新アー写と、本EP『rooms』の発表予定とともに公開された。その日の夜にはMVも公開されている。

アルパカを、シンプルなフォーピースバンド編成でやればこんな感じになるのだろう。
1stでいう「she said」のような「キラキラギターと縦横無尽ベース系統」を更新してきた!今回ベースは、(リード・ギターのテーマリフのハーモニーかのように)かなりリード・ギターに似たリズムで一緒に動き、絡んでいる。

2コーラス目のヴァース部、途中でブレイクする部分(1:21)はバッキング・ギターがB7。リード・ギターはB7sus4(omit5)のような音を弾いていて、少し不気味な響きになっています。
リード・ギター録音時に何個か試して決めていたので、「作曲者によるアレンジの必然的な響き」ではなく、プレイヤーである他メンバーがアイディアをぶつけられる部分だったのだろうと思います。

アウトロは同じギターフレーズだが、バックのコード進行が変わりリハモされていてクール!そのままアウトロはもう一展開し、Looisbos初のフェードアウトで締められます。

歌詞

「洗濯」や「クリーニング」という題材でオシャレにこなしていく様が、なぜかまたLooisbosらしいと感じてしまった。「何気ない日常についてなんだけど、あの監督が切り取ると、なんかカッコいい一場面に映っちゃうんだよな」という感覚に近いかもしれない。
"Decorate the balcony with a lot of flags"という暗喩から、"Celebrate an ordinary day"へ繋げる歌詞が本当に素晴らしいと思う。
爽やかなサウンドとも大変に合っています。

レコーディング前に参考用にいただいたリハスタで録音されたデモでは、"ordinary day"の発音が"órdina(ry) day"っぽくなっていて、譜割りも異なっていました。(リリース版では"ordínary day"と歌っている)

サウンド

本EPではこの曲のみ、曲中のリード・ギターの音量が大きく、旧譜のファンも一旦は安心する曲ではないか……と思ってます。
当初自分の最初の解釈として、イントロや声へのリヴァーブやディレイなどを多めにしていましたが、メンバーからは「ドライめ」を要望され、イントロから「隙間」のある音像に。この自然体サウンドは結果的に、屋外で撮影されたテニスコートのMVともよく似合ったと思う。

最後のコーラス部の歌が終わり 曲のアウトロ(1:55〜)は、これまでも何回も繰り返されたイントロの再演。少しだけ盛り上がらせようと、僕の頭で勝手に鳴らしていたブラスセクションをほんのりプラスしてます。勝手にやりましたが、立ち会いミックス時にネタバラシをし、許可をいただきました。あまり聴こえないようにミックスしています。
ブラスのリズムは「うんパパッうんパッ うんパパッうんパッ」。アウトロの展開部(2:06)での、ドラムの左手のリズムから着想を得たものです。展開前 つまりブラスが入るアウトロのアタマから(1:55〜)すでに展開後のリズムで解釈してしまっているわけですが、これはあることから「外部の人間が勝手に解釈した押し付け」ではないことが言えます。それは"展開前"としたアウトロ1小節目(1:55〜)での演奏ミス!作曲者ガタさんが叩くスネアが、この1小節目の2拍目だけオモテとウラの2発「パパッ」と叩いているので、展開前パートの解釈として、「パパッ」とするのが必ずしも誤りでないことが、このミスがリリース版に含まれていることで言えるわけです。

3. If you can’t understand each other

レコーディングをするにあたり練習音源を聴かせてもらった時、曲に80年代の香りがして、ディスコ・アレンジも出来そうな雰囲気を勝手に感じました。
(NYAI企画への福岡遠征のために僕がサポートでリードギターを弾かせてもらったとき、リハスタでメンバー4人がアレンジを進めていた思い出があります。その時からそんな印象だった。)

フォーク系統とみなしても突飛ではないのだろうが、このメロディー……ポップですが俗っぽくはなく、心地よく聴けます。

コーラス部の後半(1:35〜)では、ベースがリズムの仕事を放棄して、メロディーとユニゾンするのがとても印象的ですね。
(ということで、主旋律が曖昧なハーモニーが聴けるコーラス部後半だが、男声側が主旋律なのだろうことが分かる)

間奏後半にあるミニギターソロ(2:04)は、スケールアウトこそしていないが、無調性的というか協調性のない音をぶつけてくる。この違和感が――もっと言うと確信犯的に"台無し"にしてくるリードギターが――、Looisbosの醍醐味である。(この曲に関しては、このソロにファズをふんだんに掛けることで、"ぶつけてくる"意図・演出を分かりやすくしてくれていると思います。)
2コーラス目のヴァース後半(2:20〜)でも、ファズギターがクロマチカルな下降フレーズを提示してきますが、これもコンセプトありきな構築方法で、前作「So busy」でも聴くことができます。(「この曲調だから/このコード進行だから、頭に浮かんだメロディーを弾こう」という調和的なフレーズではなく、「規則的に半音で1つずつ降りるギターの音を入れよう」という発想が、僕の思うコンセプチュアルな編曲です)

この曲はエンジニアの僕の演奏も入れさせてもらっています。生のタンバリンのプレイと、ソフトのオルガンのプレイ+打ち込みをしました(もともと、サウンド的に欲しいというリクエストがあった。2ndヴァース(2:22)など、アレンジとしてタンバリンを入れるのは必然だろうと思います)。アレンジも自由にやらせてもらいました。
タンバリンはラフだが主張しないようにを心掛けました。2ndヴァース部だけは音量を大きめにして、あとは添えるだけ。
オルガンは和音の中でどの音を取るか考えるのが楽しかった。アウトロ(3:10)がギターソリとなりバッキングギターが不在となるため、その穴を埋める感じのプレイです。前作『vase』収録の「So busy」のアウトロへ勝手にストリングスを入れた(白状ののち許諾を得た)ことにより、今回はバンド側から提案してもらえたような流れでした。信頼いただけるのはありがたい。

歌詞

ワーキング・タイトルは「Albert」(アルバート)だった。「amanda」的な人名タイトル。
マスタリング時になって、タイトル変更を告げられ驚きました。理由は不明ですが、「"Albert Hammond, Jr.を意識した新曲"という意味の仮題だった」「歌詞に出てこない言葉をタイトルにするのを避けたかった」のかなと予想してます。(これまで発表されてる曲は、すべてタイトルが歌詞に出てくる。)

サウンド

ギター;特に左から聞こえるバッキング・ギターのもともとの録り音は、中低音たっぷりでふくよかなサウンドで録っていたのだが、ミキシング時に整理していく過程でかなりチープ目で硬い音に。作曲者ガタさんの当初のイメージは「太いギター」だったようですが、メンバー協議の結果はリリース版を聴いての通り、重心が高い軽めな音となりました。

コーラス部途中の左チャンネルのストロークなど(1:18や1:34)、オーヴァーダブのトラックを馴染ませず、サンプリング的「後乗せ」だと分かる様に演出しています。

この曲に限りませんが、音像的に、ミックスしている中で「ステレオ感を狭めたサウンド」を求められることが多かったです。
これまでよりも、良く言えば「まとまって落ち着いた音像」に。誤解恐れずもっと踏み込んで言うと「こじんまりとしていて、一聴すると地味」に聴こえるかもしれないです。ただ直接的な情報量を少なくした分、ソングライティング・淡々と英詞で歌うヴォーカルを、スッと味わえるような「間」や「余裕」みたいなものが生まれていると思っています。

4. Tell me

クロマチックも覗かせるギターのメロに、浅く一聴すると能天気っぽい歌。ただ歌詞は軽くない内容になっていますし、後述する通りセンチメンタルな展開も待っています。

ヴァース部は、まるでキャンディーズの「年下の男の子」並の歌謡曲的なエッセンスも入ってるように聞こえるメロディー。
コーラス部は、Ⅵmで始まるセンチなメロディーで、サビ頭に最高音がくる形になっています。

女性ヴォーカルにしてはキーがなかなかに低い曲ですが、「少し低いところがユイちゃんの声の美味しいところ」というのがメンバーの共通認識であることは、前作のフィジカル購入者特典のラジオ内で語られていましたね。

クロマチカルな部分もブルージーに響く箇所もある。
イントロのギターフレーズはハンマリングでⅱ→ⅲだが、コーラス部の"Never ever"や"He was well well well"など同じ発音を繰り返す際には歌メロとギターとで♯ⅱ→ⅲとしている。♯ⅱは♭ⅲのため、メジャーとマイナーの行き来をしています。
この長短の引っ掛かりは、その後変拍子となるアウトロのギターフレーズでも核となっていて、そのまま転調し盛り上がりをピークに持っていき曲が終わる。なかなか強引な手法ですが、しっかり耳を取られてしまいます。

アウトロ(2:40〜)で、マツダさんギター(右)は、3 + 3 + 3 + 3 と3音モチーフを連続で弾きますが、
ユイさんギター(左)は、3 + 3 + 3 + 2 + 1 と最後に3音モチーフを崩し、マツダさんギター側を裏切る形なってます

歌詞

歌詞には"Thinking about"が登場する。

軽くも重くも捉えられる歌詞で、含みがあって良いと思います。

サウンド

リード・ギターのメロディーから始まるが、リードを仰々しく扱わず、全員の演奏が比較的横並びになっています。

お得意のハーフ・スポークン部分は、いつもは歪ませていましたが、今回はほぼノンエフェクトで生々しく聴かせてました。

2コーラス目のヴァース頭のアレンジ(1:37)は、残ったドラムとベースを左右に分けています。一応ホール側から見たライヴでの立ち位置を参考にしています(が、最近ドラムを上手に寄せることをしなくなっている……)。

初めて聴いた時から、ヴァース部で、ピッチシフターで生成したオクターヴ上のコロ助ヴォイス(正確には「はじめてのチュウ」のあんしんパパのデジタル等速版)を重ねるというアイディアがあったので、玉砕覚悟でやってみたが、案の定却下されました!(全然OKです!)

5. it might be right


いい曲。
優しく切ない雰囲気のメロディー、素朴なアレンジ。そして最後にはダイナミクスの幅を見せる曲全体を通しての緩急・抑揚。レコーディング前からライヴでも披露されているようで、評判が良かったようです。

女性と男性のダブル・ヴォーカルだが、同時に歌うところはハモらず、完全ユニゾンで乗り切っています。

今作のラストナンバーですが、前作のラストナンバー「Common Sense」とは、開始直後2拍目にはもうヴォーカルが入る潔い始まり というのが共通点です。

ドラムとベースは1つの楽器のように歩幅を合わせて一歩ずつ歩く感じ。細かくもマルカートなストップ感が心地よいです。
コーラス部ではドラムがライドシンバルに開けて、ベースがサブメロディー的に動き出す。ハネ系だけど、コーラス部でのベースフィルの16分(0:38など)はイーヴンっぽい。意図的なんでしょうか?

インターリュード(0:49〜1:02)はギターソロ。後半の音の外し方が空気を読みすぎてなくて良い!何回も言いますが、この意図的な捻くれ方がどの曲も挑戦的で面白く、Looisbosを飽きずに聴かせてくれるスパイスになっていると思います。

後半のギターソロの入り(1:34)は、展開を知らせるチャイムのように聴こえる(チャイムって3度音程じゃないっけ……?インターホンのチャイム(ピンポン)は3度だけども……)

これまたCメロ(2:21)が効きますねぇ〜。ガタさんはこういう風な「曲の締めになるメロを新しく提示する」のが本当に上手い。
女声と男声がユニゾンで歌う部分で、歌い方が揃っていないところもありますが、意図的に残してあります(2:27の"yourself"の音価など)。レコーディング時からメンバーとコンセンサスを取っています。

ちなみに曲の最後に力を抜いて繰り返される"It might be right"(2:52)も、実はここしか出てこないメロディー。コーラス部の再現ではなく変奏で、言うなれば移調されているようなものだ(厳密には機能も異なる。コーラス部はⅡmに対しての1度始まりだが、このアウトロはⅠに対しての3度)

コーラス部のシェイカーは僕がプレイしてます。専門でないので苦戦したが、緩〜くプレイした。

歌詞

1コーラス目と2コーラス目は歌詞は全く同じですが、ユイさんとガタさんの歌の乗せ方の違いにより、全く異なる印象を受けます。ヴァース部について、クォーテーションから少なくとも2人分の人称がいるようですが、特にリード・ヴォーカルを分担せず、1コーラス目はすべて女声・2コーラス目はすべて男声という構成に。

サウンド

リファレンス曲にはLo-Fiな曲が含まれており、イメージがそんな感じだったらしく、派手な音にはしていません。音像の真ん中でドラム・ベースが着実にゆっくり進んでいくイメージ。ギターも同じ場所でアンサンブルに加わり、少しばかりの軽やかさを与えてくれる感じです。
歌の裏で聞こえるリードギターが極端に抑えられているも作曲者ガタさんの意向。

またヴァース部のヴォーカルは、リヴァーブをほとんどゼロにしているのもメンバーの意向で、緊張感に似た生々しさが演出されています。
ラストの"someone to love"(2:33)をウェットにするためにかけたリヴァーブも、かなり最小限にしている。テールが物足りないかもしれないが、私たちの解釈はこれである。

2人の歌声はテープシミュレーターのアナログっぽい薄い歪みで、少しのザラつきを持たせています。

2番のヴァース、ガタさんが歌い出す前に息を少し吐いた音やリップノイズが入っているのが微妙に聴けるかと思います(0:59)。こういう意図していない音"ノイズ"について、元々僕は人よりも切らないタイプだけど、この曲は特に切らないようにしたはずです。

最後に呟かれる"It might be right"がちょっと右から聴こえてくるのは僕のギャグです。(笑)
エンジニアリングの際は曲に真摯に……しかしこういったユーモアなども同じくらいメンバーと一緒に大切にすることで、その曲が持てるストーリー性・ドキュメンタリー性を拡げようとしています。こんな感じで「愛される曲を残すお手伝い」がこれからもできればと思っています。みなさんご依頼くださーい☆☆☆